うつ病に心理療法が用いられることがあります。安堵感が得られたり、自己成長にも繋がります。

うつ病治療にレクサプロ

うつ病と心理療法

カウンセリング うつ病の治療として、薬が用いられるだけでなく心理療法が行われることもあります。抗うつ剤の副作用を気にしている方や並行して取り組まれる方もいます。臨床心理士や医師との話し合いを通して、これまでの自分の考え方の傾向や人間関係・行動パターンを回顧します。

「自分ってこう考えがちなんだ」「人間関係ではこんなことを繰り返す傾向にあるんだ」と知った上で、少しずつ修正していくと今までの生き辛さが軽くなったり、スムーズな日常生活を送ることができます。

現在、心理療法には多くの種類がありますがここでは、うつ病治療に有効とされている方法を紹介しています。

認知療法

落ち込む女性 この方法は、その人の『認知』を細かく検証し症状の緩和を目指します。
同じ出来事や状況にぶつかっても、感じ方・捉え方・受け取り方は人によって異なります。この個人によって違う見方や捉え方のことを認知と言います。
認知に、いい・悪いはなく肯定的なものもあれば否定的なものもあり、これら全てがバランスよく作用しています。
しかし、うつ病を患うとこのバランスが崩れ否定的なものに偏り認知の歪みが生じます。認知の歪みにもいくつかパターンがありますが、以下に挙げているものはその一例です。

・レッテル貼り
自分や他人に対して「自分って○○な人間、あの人は○○な人」とレッテルを貼ることです。
柔軟性に欠けるイメージを固定し、否定的な自己イメージを創り上げます。
「私は何をやっても駄目な人・・・、私っていう人間は・・・」という表現をするのが特徴です。

・全か無か思考
白か黒か、0か100かでしか考えられない極端な思考を指します。
常に自分にも他人にも完璧を求めるため、満足できません。

・プラスの否定
何気ないことやいい出来事を悪いことに置き換えることです。
困っている友達を助けても「私はただの偽善者」と自己否定したりします。

・すべき思考
自分の中の基準を絶対と考え、それに沿って行動することが当たり前とする思考パターンです。
「~すべき」「~でなくてはいけない」という意識が強くあり、一般的に考えてという言葉をよく使うのが特徴です。

このような認知は自動思考と言われ、状況によって自然にでてきます。
認知療法においては、この自動思考がどのような状況で引き起こされたか、その際の気持ちはどんなものか、代わりとなる肯定的な認知はないかを探ります。
元のバランスが取れた多様な認知をできるようにすることで、うつの改善を目指します。認知だけではなく、日常生活の記録や計画を行い行動面にも働きかけることで、治療がよりいい方向に進みます。

支持的精神療法

ハートを持つ女性 最も一般的な方法で不安を取り除くことを目的としています。
『支持』には患者をバックアップする、心身の根底から支えるという意味が含まれますが、要求を全て叶えるわけではありません。
方法は抱えている悩みや不安、孤独感を話し、共感してもらいます。そうすることで感情の吐き出しができ、希望や安心感が得られ気持ちが和らぎます。
治療者は、患者の話に対していい・悪いなどの価値判断をしなければ、無理に励ますこともしません。あくまでも支持に徹底し気持ちを軽く、精神を安定させることを目的としています。


支持的精神療法の特徴は3つあります。
・共感:相手を理解する、相手の主観に自分の主観を合わせる。
・受容:相手の存在そのものを無条件に受け止める。
・傾聴:否定も支持もせず最後まで話を聞く。

対人関係療法

前向きな女性 努力を重ねると治療効果が上がるとされている方法です。
対人関係の問題はうつの症状に深く関わるとされているため、その解決を目指し症状の緩和を目指します。

出来事や心の苦しみにフォーカスするのではなく、症状に関わる『対人関係』に目を向けます。自分がストレスを感じている人間関係を探りだし、どうやれば上手くいくか、どうすればトラブルを避けられるかを考え具体的な方法やスキルを身につけます。

抗うつ剤の副作用が心配で薬の使用に踏み切れない方は、試してみるのもいいでしょう。薬だけでなく、心の安定を人との会話やカウンセリングで図るのも重要です。

催眠療法(ヒプノセラピー)

時計を持つ女性 人間の催眠状態を利用して、潜在意識にアプローチしていく心理療法です。日本では、「催眠」と聞くといいイメージを持たない方もいらっしゃいますが、アメリカなどでは医療行為として扱われ医師・心理療法士・看護師が有効な治療として用いることがあります。催眠誘導を行い普段、気づけない潜在意識の声を聞くことで問題解決や自己成長を促します。

そもそも人の意識には、顕在意識と潜在意識の2つがあります。顕在意識は自覚できる意識、潜在意識は自覚できない意識のことで無意識とも言います。眠っているのに夢を見たり、地震などの揺れを感じると目が覚めたりするのも潜在意識が働くお陰です。

その潜在意識を利用し催眠療法では、潜在意識に働きかけ患者の中にどのような記憶があるのか、どのように患者に働いているのか、認識のサポートをしてくれます。
自身では気づかなかった意識を認識することで、悩みの原因を見つめ直し、問題の解決や気持ちを楽にすることができます。自分の中に眠る意識から気づきや癒すを得ることができるため、新しい視点で物事を考えることができるようになったり、自信を取り戻すことができます。

箱庭療法

箱庭療法 ローエンフェルトというイギリスの小児科医が考案し、その後ユング心理学を元に「砂遊び療法」として確立した方法が箱庭療法です。砂の入った箱を使って、ミニチュア玩具や模型を自由に配置させていくことで、何かを表現または遊ぶことを通して言語化していきます。表現療法の位置づけで、言葉にできない内面が配置によって分かることで自身の心の解放に役立ちます。箱の中で作られる世界は、心を反映させた世界として見ることができるのです。

使われるミニチュア玩具は、家・家具・人・植物・動物・乗り物など様々で、これらを使うことで箱の中に自分の好きな風景を作り出すことができます。そして、カウンセラーなどの治療者が介入せずに暖かく見守ることで心の深い世界まで分析することができます。分析することで、抑圧した感情が隠されているのを知ることができたり、本当の胸の内を知ることができます。

表現することで、ストレスや不安など溜めこんでいたものが徐々に吐き出され、精神の成長ができます。言葉にするのが苦手な方でも専門家が見守りながら行うため、安心して取り組むことが可能です。子供からご高齢の方まで、男女問わず気軽にできることが特徴で、大人であれば子供に戻ったような感覚で箱庭造りを行うことができます。そして、造ること自体が癒しでもあるため効果は高いでしょう。

芸術療法

芸術療法 別名、アートセラピーとも言われ芸術活動(音楽・陶芸・彫刻・ダンス・絵画・俳句)を通して、自分を表現し問題解決を行う心理療法です。心理学者のマズローは「本来、人は潜在意識で自分の心で感じることを目に見えるよう表現したいと考えている」と唱え、芸術活動はその願望を叶えるために有効であり、1つの作品を作り上げる充実感・満足感は心に癒しを与えるとされています。

また、ダンスや演劇など体を動かして表現する芸術はカタルシス効果があると言われています。この効果は心の浄化作用と呼ばれることもあり、悩みやイライラ・怒りを解消し安堵感を得ることができます。

上記で挙げた箱庭療法とは、「表現する」ということに焦点を当てる部分、どのように患者の心が作品に反映されたかを分析する点が類似しています。しかし、表現することに慣れていない人や拒否感を抱く人、完成した作品の出来栄えを気にする人もいるため、箱庭療法の方が合う人もいます。
表現することが自体に癒し効果がありますが、強引に行うことは好ましくありません。あくまでも出来栄えなどを気にせず、心が思うように自由に表現することで効果を発揮します。

夢分析

寝ている女性 フロイトというチェコの精神科医が発案した方法です。フロイトは、無意識に抑圧された願望想いが夢になって表れると考え、夢分析を行うことで夢に表れた普段意識することができない部分を知ることができます。方法は寝転がりリラックスした状態で、見た夢の内容について話してもらいます。

夢は自分の本当の願望や欲求を表しているという考えの元行うため、患者の行動や性格などあらゆる情報を含め総合的観点で意味を探っていきます。無意識の心の声を治療者を介して知ることで、新たな気づきや癒しを得ることができます。

しかし、この方法は治療者の経験や実力が結果を大きく左右するとも言われ、治療者によって異なる分析結果が出る場合もあります。そのため、雑誌で得られるような簡単な情報を元に分析することはお勧めできません。行う際は信頼できる専門家を頼るようにしましょう。

短期療法(ブリーフセラピー)

カウンセリングをしている女性 病気の原因に焦点を当て解決するのではなく、「これから先、自分はどうありたいのか」「どんな自分になるのが望ましいのか」という考えが基本となっている方法です。例えば不眠で悩んでいる場合は、早めにベッドに入るようにしても全く眠れない日が続き困っているとします。しかし、運動をした日は眠くなる、仕事が充実していると眠くなるなど例外的な条件を解決の糸口にします。

これは例外探しとも呼ばれ、患者がこの例外的条件に気づき、行動に移すことで短期間で症状の発生を防ぐことが可能になります。状況次第で症状が発生しないこともあること知れば、その後の行動が変わります。

心理療法に掛かる費用

お金 2010年3月に、認知療法の医療保険適用が決定しました。そのため、現在では病院やメンタルクリニックで気軽に心理療法を受けられる機会が増えました。費用も安く、1回1,000円~2,000円前後と患者の負担額は少ないです。

通常1回のみの診療で終わるのではなく、月1回・2ヵ月に1回というように定期的に受けることが望ましいとされ、時間は40~50分掛けるのが良いとされています。しかし、保険適用が可能な診療では時間を掛けれないのが現状です。

最初に、保険適用内での診療を受けて改善が見られない場合は、自由診療に切り替えるという方法もあります。自由診療の場合、全額自己負担となり費用は1回10,000円前後のクリニックが多いです。心理カウンセラーなどを頼る場合は、2,000~3,000円で受けられる場合もあれば10,000円以上掛かる場合もあります。費用はバラバラであるため、まずは専門機関に相談するのがお勧めです。